古伊万里、伊万里焼、有田焼とは

江戸時代、有田を中心とした地域一帯で生産された磁器を「伊万里・伊万里焼」と呼んでいました。これは、有田には港がなく、近くの伊万里港から積み出して国内から海外まで輸出をしていたためです。
今では、有田で焼かれているものを有田焼、伊万里で焼かれているものを伊万里焼と呼ぶなど、産地の名前で呼ばれています。また、それらと区別するため、江戸時代の伊万里焼を「古伊万里」と呼んでいます。
伝統工芸品においては、有田焼と伊万里焼は原料や製法、技法も同じであることから、「伊万里・有田焼」と統一した名称になっています。

鍋島焼の特徴

鍋島染付【左】

白磁に、酸化コバルトを主成分とする「呉須」により、藍色一色で絵付けしたもの。
線描きと濃みで濃淡をつけ、様々な文様を描いている。

色鍋島【中】

主として、染付(下絵付)して本焼した焼物に、赤・黄・緑の3色で上絵付をして焼成したもの。

鍋島青磁【右】

大川内山から算出される青磁原石を使った釉薬を、数回かけて焼成したもの。
還元炎焼成を行うことにより、青緑色に発色する。

鍋島藩窯では皿類を多く製造し、壺、瓶子、蓋付碗や香炉が一部に存在する。
皿の特徴は木盃型(高台が高い盃のような形)で、直径が三寸、五寸、七寸、1尺と決まっている。
高台に規則正しい文様が描かれている。櫛歯文が多く、「櫛高台」と呼ばれている。高台内には何も描かれない。
皿裏の文様は藍色一色の染付で、三方に七宝つなぎ文や唐花文が描かれている。
皿表には、山水画、植物や野菜などを図案化したもの、幾何学的なものなどが描かれるが、鍋島藩の図案帳が残っていることもあり、細かく指示されていたことがわかる。

Tips土器と陶器と磁器の違い

土器は、粘土と水で練り固めたものを原料とし、素焼(焼成温度600~900度)したものです。
陶器は土を原料とし、釉薬をかけて800~1250度で焼成します。このため「つちもの」と呼ばれます。厚みがあって重たく、叩けばにぶい音がして、吸水性や保温性があります。
磁器は石を砕いた陶土(磁土)を原料とし、釉薬をかけて1200~1400度で焼成します。このため「いしもの」と呼ばれます。薄くて硬く、叩けば金属のような高い音がして、耐久性に優れています。